年に一度の健康診断。結果表に書かれた「BMI:25.5 “肥満(1度)”」という文字を見て、あなたは内心焦りを覚えたかもしれません。 「体重は少し増えたけど、筋トレも頑張っているのに、なぜ…?」
こんにちは、アタマジです。 その焦り、そして疑問は、あなたの健康意識が高い証拠です。 そして、その疑問の答えは、「BMIという指標が、あなたの体の“真実”を映し出してはいない」ということです。
本日の講義は、この最も有名で、最も誤解されている健康指標「BMI」の限界を科学的に解き明かし、あなたが本当に向き合うべき、より正確な“羅針盤”を授けます。
そもそも「BMI」とは何か?

BMI(Body Mass Index:ボディマス指数)とは、身長と体重から、肥満度を算出するための、世界的に用いられている体格指数です。 計算式は非常にシンプルです。
BMI = 体重(kg) ÷ [身長(m) × 身長(m)]
そして、WHO(世界保健機関)の基準に基づき、以下のように判定されます。
- 18.5未満: 低体重(やせ)
- 18.5 ~ 25未満: 普通体重
- 25 ~ 30未満: 肥満(1度)
- 30以上: 肥満(2度以上)
この手軽さから、健康診断などで広く使われています。
なぜBMIは“時代遅れ”なのか?アスリートが「肥満」と判定されるワナ
では、なぜこのBMIが、特に筋トレに励む男性にとって信頼できないのでしょうか。 その答えは、BMIの算出方法に、致命的な欠陥があるからです。
それは、「BMIは、体重の“中身”(筋肉と脂肪の割合)を一切考慮していない」という点です。
想像してみてください。ここに、全く同じ「身長175cm、体重80kg」の2人の男性がいます。 彼らのBMIは、二人とも「26.1」となり、判定は「肥満」です。
- Aさん: 長年トレーニングを積んだラガーマン。体脂肪率は12%で、体重のほとんどは筋肉。
- Bさん: 運動習慣のないデスクワーカー。体脂肪率は30%で、体重の多くは脂肪。
BMI上は同じ「肥満」ですが、彼らの健康状態や見た目が、全くの別物であることは、火を見るより明らかです。筋肉は脂肪よりも重いため、筋トレを頑張れば頑張るほど、体重は増え、BMI上は「肥満」に近づいてしまうという、矛盾した現象が起こるのです。
真の指標「体脂肪率」を理解する

では、私たちは何を信じればいいのか。 その答えが「体脂肪率」です。
体脂肪率とは、その名の通り、「全体重のうち、『体脂肪』が占める重さの割合」を示す数値です。 これは、体重の中身を直接的に評価するため、BMIよりも遥かに正確に、あなたの体の状態を映し出します。
【男性の体脂肪率と見た目の目安】
- 10%〜14%: アスリートレベル。腹筋が割れて見える、引き締まった体。
- 15%〜19%: 健康的で、最もバランスの取れた理想的な範囲。 細マッチョに見える。
- 20%〜24%: 標準的な範囲。少しお腹周りが柔らかく見え始める。
- 25%以上: 肥満。生活習慣病のリスクが高まる。
【実践編】体脂肪率の測り方と、目指すべき目標値
体脂肪率は、専用の測定器で測る必要があります。
- 最も手軽な方法:家庭用の「体組成計」 多くの家庭用体重計には、体脂肪率を測定する機能がついています。微弱な電流を流して測定する「生体インピーダンス法」という方式で、その日の体水分量などで多少の誤差は出ます。 しかし、毎日同じ時間(例:朝起きてトイレに行った後)に測定し、その数値の「傾向」を見る上では、非常に優れたツールです。
- 目指すべき目標値: 当アカデミーが、健康と見た目の両面から推奨する、男性の理想の体脂肪率の目標範囲は「15%〜19%」です。 この範囲をキープできていれば、たとえあなたのBMIが「25」を超えて「肥満」と判定されたとしても、全く気にする必要はありません。あなたは、ただ筋肉がしっかりついた、健康的な体なのです。
まとめ
- BMIは、身長と体重だけで計算されるため、筋肉と脂肪の違いを無視してしまうという大きな限界がある。
- トレーニングに励む男性にとっては、BMIよりも「体脂肪率」が、遥かに信頼できる健康指標。
- 男性の理想の体脂肪率は「15%〜19%」。
- 家庭用の体組成計で、毎日の傾向をチェックする習慣をつけよう。
これからは、健康診断のBMIの数値に、一喜一憂するのはやめましょう。 あなたが本当に向き合うべきは、体重というただの数字ではなく、**その中身である「筋肉と脂肪の比率」です。 より科学的で、より本質的な指標を羅針盤とし、真のウェルネスへの航海を続けてください。