「内向的な性格を、もっと社交的にしたい」 「悲観的に考えがちな自分を、ポジティブに変えたい」
そう願って自己啓発に励んでも、気づけばいつも同じ思考パターン、同じ行動を繰り返し、「結局、人間の性格なんて、大人になったら変わらないんだ…」と、無力感に苛まれた経験はありませんか?
こんにちは、アタマジです。 本日の講義は、自己変革の旅における“最後の壁”、「性格」について。
結論から言えば、あなたの「中核的な気質」を全くの別人に変えるのは、極めて困難です。 しかし、あなたの「行動」や「思考の癖」、そしてそれによってもたらされる「人生」を変えることは、科学的に十分に可能なのです。
なぜ大人の性格は「変わりにくい」のか?2つの科学的理由

まず、あなたが感じている「変わることの難しさ」は、決して気のせいではありません。それには、明確な科学的理由が存在します。
- ① 脳の「神経可塑性」の低下: 私たちの脳は、経験によって常に変化しています(神経可塑性)。しかし、新しい神経回路が作られるスピードや柔軟性は、子供時代がピーク。大人になると、長年使われてきた思考や行動の“高速道路”が脳内に深く刻み込まれており、新しい道を切り拓くのには、より多くのエネルギーと時間が必要になります。
- ②「コンフォートゾーン」という心理的引力: あなたが今持っている性格は、たとえそれが不満なものであっても、あなたにとっては最も「慣れ親しんだ、安全な場所(コンフォートゾーン)」です。変化とは、未知で、予測不能な世界へ踏み出すこと。私たちの脳の生存本能は、そのリスクを嫌い、無意識のうちに、慣れ親しんだ元の自分へと引き戻そうとする、強力な引力が働くのです。
「性格」という言葉の“呪い”を解く
では、私たちはこの強力な現状維持システムに、なすすべなく敗北するしかないのでしょうか? いいえ、違います。 そのために必要なのは、まず「性格」という言葉の“呪い”から、自分を解放することです。
私たちは、「自分は“内向的な性格”だ」というように、自分を一つの固定されたラベルで定義してしまいがちです。しかし、あなたという人間は、そんな単純な言葉で定義できるものではありません。
重要なのは、「性格」という、曖昧で、巨大で、変えようのない塊に挑むのをやめることです。 その代わりに、もっと具体的で、変更可能なものに焦点を当てるのです。 それは、あなたの「行動」と「思考習慣」です。
例えるなら、あなたの気質がPCの「ハードウェア(CPUやメモリ)」だとすれば、それは簡単には交換できません。しかし、そこにインストールされている「ソフトウェア(OSやアプリ)」、すなわち日々の行動や思考のプログラムは、あなたの意志で、いつでもアップデートし、書き換えることが可能なのです。
【実践編】“性格”ではなく“行動”を変えるための3つのステップ

STEP 1:「なりたい自分」を“行動レベル”で具体的に定義する
「社交的になりたい」という曖昧な目標を捨て、「社交的な人間なら、“どんな行動”をとるか?」を具体的に定義します。
- 例:「週に一度は、新しいコミュニティに参加する」「会議では、必ず最初に発言する」「コンビニの店員さんに、『ありがとう』と目を見て言う」
STEP 2:“フリをする”ことから始める(As Ifの法則)
アドラー心理学で語られる、非常に強力なテクニックです。 「社交的になったら、それができる」のではありません。「社交的な人間であるかのように“振る舞う(フリをする)”から、社交性が後からついてくる」のです。
脳は、あなたの行動と感情を一貫させようとします。あなたが勇気を出して、定義した「社交的な行動」を一つでも実行すれば、脳は「おや、自分は意外と社交的なのかもしれない」と、自己認識を少しずつ書き換え始めるのです。
STEP 3:「小さな行動」を、仕組みで継続する
過去の講義「アトミック・ハビッツ入門」の出番です。 意志力に頼って、いきなり大きな行動を起こそうとしてはいけません。
「コンビニの店員さんに、『ありがとう』と目を見て言う」 この、失敗しようがないほど小さな行動を、ハビット・スタッキング(例:買い物を終えたら、必ず言う)や、習慣トラッカーを使って、まずは確実に継続する。
あなたの“性格”とは、この無数の小さな「行動」と「思考習慣」の総体に過ぎません。一つひとつのソフトウェアを、地道に、しかし確実にアップデートしていく。それこそが、大人になってから自分を変える、唯一にして最も確実な道なのです。
まとめ
- 生まれ持った「気質」を変えるのは難しい。しかし、「行動」と「思考習慣」は、いつでも変えられる。
- 「性格を変えよう」とするな。「行動を変えよう」と決意せよ。
- ①なりたい自分の“行動”を定義し、②そのように“振る舞い”、③小さな行動を“習慣化”する。
あなたは、あなたが毎日繰り返す「行動」そのものです。 そして、その行動は、過去のあなたではなく、「“いま、ここ”にいる、あなたの意志」によって、今日この瞬間から、新しく選択することができるのです。