いざAGA治療を始めようとクリニックの門を叩いた時、医師からこう告げられることがあります。 「では、まず血液検査をしましょう」
その瞬間、「少し面倒だな」「注射は苦手だ…」「本当に必要なのだろうか?」と感じてしまうかもしれません。
こんにちは。『メンズウェルネスアカデミー』学長のアタマジです。 先に結論からお伝えします。AGA治療における血液検査は、決して形式的なものではありません。それは、あなたのこれからの治療という航海が、安全で、かつ効果的なものになるかを占う、極めて重要な「海図」なのです。
この記事では、なぜ血液検査が必要なのか、その3つの主要な目的と、具体的に何を調べているのかを、分かりやすく解説していきます。
血液検査の「3つの主要な目的」

クリニックがあなたの血液を調べるのには、主に3つの大切な理由があります。
目的①:肝機能のチェック(薬を安全に代謝できるかの確認)
これが最も重要な目的です。 AGA治療の主役である内服薬(フィナステリドやデュタステリド)は、体内で吸収された後、「肝臓」で分解・代謝されます。
もし、あなたが自覚していない肝機能の低下がある場合、薬を服用し続けることで肝臓に大きな負担をかけてしまい、深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。
血液検査では、AST(GOT)やALT(GPT)といった数値を調べることで、あなたの肝臓が薬を安全に代謝できる状態にあるかを、治療開始前に必ず確認しているのです。
目的②:男性ホルモン値の測定(治療前の基準値の把握)
AGA治療薬は、男性ホルモンに作用する薬です。そのため、治療開始前にあなたの「テストステロン」などのホルモン値がどのくらいかを測定し、基準となるデータ(ベースライン)を記録しておくことがあります。
これにより、万が一、治療開始後に性欲減退などの副作用が出た場合に、それが薬による影響なのか、あるいは他の要因によるものなのかを、客観的なデータに基づいて判断する一助となります。
目的③:その他の健康状態の確認(別の脱毛原因の可能性)
薄毛の原因は、必ずしもAGAだけとは限りません。 例えば、鉄欠乏による貧血や、甲状腺ホルモンの異常なども、抜け毛の原因となることがあります。
血液検査でこれらの項目をチェックすることで、「あなたの薄毛の原因は本当にAGAで間違いないか」「他に治療すべき病気が隠れていないか」をスクリーニングする目的もあります。これは、あなたの体全体のウェルネスを考える上で非常に有益な検査です。
注意:血液検査を行わないクリニックは“要注意”

ここで一つ、賢明なあなたがクリニックを選ぶ上での重要な指針をお伝えします。 もし、カウンセリングに行ったクリニックが、血液検査なしで安易に内服薬を処方しようとした場合、そのクリニックは少し注意が必要かもしれません。
それは、万が一の健康リスクに対する配慮が不十分である可能性を示唆しているからです。血液検査は、あなたの安全を守るための「最低限のセーフティーネット」。これを重視しているかどうかは、そのクリニックが患者の健康を第一に考えているかを見極める、一つのバロメーターとなります。
まとめ:血液検査は、あなたの体を守る「お守り」
- 血液検査の最大の目的は、薬を安全に代謝できるか「肝機能」をチェックすること。
- 治療前のホルモン値や健康状態を把握し、よりパーソナルな治療計画を立てるため。
- 血液検査の実施は、患者の安全を第一に考える「優良なクリニック」の証でもある。
AGA治療は、長期にわたる自分自身への投資です。その第一歩である血液検査は、面倒な手続きではなく、あなたの大切な体を守り、治療の成功率を高めるための、最初で最も重要なお守りなのです。
安心して、専門家である医師にあなたの体を預け、最適な治療のスタートを切ってください。