「抜け毛や薄毛を見つけた時、それがすべてAGAだと思っていませんか?」 「ある日突然、コインのような抜け毛が見つかった。これもAGAの一種なのだろうか?」
そのように、ご自身の症状に確信が持てず、不安に感じている方もいるかもしれません。 こんにちは、アタマジです。
男性の薄毛と聞くと、まずAGA(男性型脱毛症)が思い浮かびます。しかし、脱毛症にはもう一つ、「円形脱毛症」という、全く異なる原因で発症するものがあります。
そして最も重要なことは、この二つは原因が全く違うため、治療法も全く異なるということです。
この記事では、AGAと円形脱毛症の決定的な違いを「原因」「見分け方」「治療法」の3つの観点から徹底的に比較・解説します。正しい知識が、あなたを最適な治療へと導く最初の羅針盤となります。
結論:AGAと円形脱毛症は「全くの別物」です

まず、この二つは根本的に異なる病気であることを理解してください。
- AGA(男性型脱毛症)とは? 男性ホルモンと遺伝が原因で、ゆっくりと特定のパターン(生え際や頭頂部)で薄毛が進行していく症状です。
- 円形脱毛症とは? 免疫システムの異常により、自身の毛根を「敵」と誤認して攻撃してしまう自己免疫疾患の一種です。これにより、突然、円形などの形に髪が抜け落ちます。
例えるなら、AGAが「工場の燃料(成長因子)が、ホルモンの影響で徐々に供給されなくなる状態」だとすれば、円形脱毛症は「味方であるはずの警備隊(免疫細胞)が、突然自分の工場を攻撃し始める状態」です。原因が全く違うことがお分かりいただけるでしょう。
4つのポイントで見分ける!AGAと円形脱毛症
ご自身の症状がどちらに近いか、以下の比較表でセルフチェックしてみてください。
比較ポイント | AGA(男性型脱毛症) | 円形脱毛症 |
① 原因 | 男性ホルモン(DHT)、遺伝 | 自己免疫疾患(ストレスなどが引き金になることも) |
② 抜け方の特徴 | ゆっくりと時間をかけ、生え際や頭頂部など決まったパターンで薄くなる | 突然、コイン大の円形やまだら状に、境界線がはっきりと抜ける |
③ 初期症状 | 髪が細くなり、ハリ・コシがなくなる | 自覚症状なく、ある日突然、家族や美容師に指摘されて気づくことが多い |
④ 併発する症状 | 基本的にはない | アトピー性皮膚炎や甲状腺疾患など、他の自己免疫疾患を併発することがある |
特に②の「抜け方」は、最も分かりやすい違いです。「徐々に全体的に薄くなってきた」ならAGA、「ある日突然、一部分がごそっと抜けた」なら円形脱毛症の可能性が高いと言えます。
治療法はここまで違う!絶対に間違えてはいけない

原因が全く違うため、当然、治療法も全く異なります。
- AGAの主な治療法
- 目的: 男性ホルモン(DHT)の働きを抑え、ヘアサイクルを正常化させる。
- 治療薬: 内服薬(フィナステリド、デュタステリド)、外用薬(ミノキシジル)
- 円形脱毛症の主な治療法
- 目的: 異常な免疫反応を抑制する。
- 治療薬: ステロイド外用・注射、局所免疫療法、紫外線療法など
ここで最も重要なことは、AGAの治療薬は円形脱毛症には効果がなく、その逆もまた然りだということです。自己判断で市販の育毛剤などを使っても、原因が違えば効果は期待できず、貴重な時間とお金を無駄にしてしまうだけなのです。
「併発」する可能性はあるのか?
「では、AGAと円形脱毛症が同時に起こることはあるの?」 答えは、「はい、可能性はあります」。
AGAの素因を持つ男性が、仕事のストレスなどを引き金に、円形脱毛症を発症するケースは珍しくありません。二つは全く別の病気だからこそ、それぞれが独立して発症し、併存することがあり得るのです。
だからこそ、症状が混在しているように感じる場合などは特に、自己判断は極めて危険です。
まとめ:自己判断は絶対に危険。まずは皮膚科専門医へ
- AGAは男性ホルモンが原因でゆっくり進行する。
- 円形脱毛症は免疫の異常が原因で突然発症する。
- 両者は全く別の病気であり、治療法も全く異なる。
- まれに併発する可能性もある。
あなたのその抜け毛が、AGAなのか、円形脱毛症なのか、あるいは他の皮膚疾患なのか。それを正確に判断できるのは、皮膚科の専門医だけです。
ネットの情報だけで「自分はきっとAGAだろう」と決めつけず、まずは一度、お近くの皮膚科クリニックを受診し、プロの診断を仰いでください。それが、あなたの悩みを解決するための、最も確実で、最も安全な第一歩です。