同じ「SPF50+」を謳う日焼け止め。 それなのに、ある製品は化粧水のようにみずみずしく、ある製品は、いつまでも肌の上でベタつき、白く残る…。
「この違いは、一体どこから来るのだろう?」 そう疑問に思ったことはありませんか?こんにちは、アタマジです。 その答えは、製品のイメージや価格ではなく、全てパッケージの裏側にある「成分表」*に書かれています。
本日の講義は、日焼け止めの「使用感」を決定づける成分の科学。 この記事を読めば、あなたは成分表を見ただけで、その日焼け止めが「ベタつくか、サラサラか」「白浮きするか、透明か」を、かなりの精度で予測できるようになります。
紫外線を防ぐ「2種類のフィルター」で使用感は大きく変わる

日焼け止めの最も重要な成分は、紫外線を防ぐ「紫外線防御剤」です。これには、大きく分けて2つのタイプがあり、どちらを主成分にしているかで、使用感が根本的に変わります。
① 紫外線吸収剤(ケミカル)
- 仕組み: スポンジのように紫外線を吸収し、肌の上で熱などの無害なエネルギーに変換して放出する、化学的なフィルターです。
- メリット:
- 透明で、白浮きしない。
- 伸びが良く、みずみずしいジェルやエッセンスタイプを作りやすい。
- デメリット:
- 肌の上で化学反応を起こすため、まれにアレルギーや刺激の原因になることがある(ケミカル負け)。
- 代表的な成分: メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル など
② 紫外線散乱剤(ノンケミカル / ミネラル)
- 仕組み: 酸化チタンや酸化亜鉛といった、白い粉末状のミネラル成分が、肌の表面を覆い、物理的に紫外線を鏡のように跳ね返す、物理的なフィルターです。
- メリット:
- 肌の上で化学反応を起こさないため、肌への刺激が少ない。敏感肌向け製品に多い。
- 塗ってすぐに効果を発揮する。
- デメリット:
- 原料が白い粉末なので、白浮きしやすい。
- 粉末を肌に乗せるため、テクスチャーが重く、きしみやベタつきを感じやすい傾向がある。
- 代表的な成分: 酸化チタン、酸化亜鉛
【アカデミー的結論】 男性が日常使いで好む「サラサラで透明な」使用感は、主に「紫外線吸収剤」によって実現されています。
使用感を決定づける、その他の「キー成分」

フィルターの種類だけでなく、製品の土台となる「ベース成分」や、使用感を調整する成分も重要です。
エタノール(アルコール)
- 役割: 多くのジェルタイプ日焼け止めに配合されています。揮発性が高いため、塗った後の水分を素早く飛ばし、「サラサラ感」や「清涼感」を演出します。
- 注意点: 肌の水分も一緒に奪うため、乾燥肌や敏感肌の人は、刺激や乾燥を感じることがあります。
シリコン・ポリマー類(ジメチコンなど)
- 役割: 肌の表面に、一枚のなめらかな「膜」を張る役割をします。これにより、肌の凹凸をカバーしてサラサラに見せたり、汗や水に強い「ウォータープルーフ」効果を生み出したりします。
- 注意点: 一部で「肌に悪い」というイメージもありますが、化粧品に使われるシリコンは安全性が高く、肌に浸透することはありません。むしろ、快適な使用感のためには不可欠な成分です。
【実践】成分表から「使用感」を予測する方法
CASE 1:「サラサラなジェルタイプ」の成分表予測
あなたが求める「ベタつかない、白浮きしない、化粧水のような」日焼け止めの成分表は、おそらくこうなっています。
- 成分表の一番最初が「水」。
- 上位に「エタノール」や保湿剤の「BG」などがある。
- 紫外線防御剤は「メトキシケイヒ酸エチルヘキシル」などの吸収剤がメイン。
- 「ジメチコン」などのシリコン成分で、なめらかな質感を演出。
CASE 2:「肌に優しい、しっとり系」の成分表予測
敏感肌で、保湿力も欲しい場合の製品は、こうなっていることが多いでしょう。
- 紫外線防御剤として「酸化亜鉛」「酸化チタン」が上位にある。
- 「エタノール」が配合されていない(アルコールフリー)。
- 保湿成分である「グリセリン」「スクワラン」などが上位にある。
まとめ
- 日焼け止めの使用感は、主に紫外線「吸収剤」か「散乱剤」かで決まる。
- サラサラで透明な使用感は「吸収剤」、肌に優しいが白浮きしやすいのは「散乱剤」。
- 「エタノール」は清涼感を、「シリコン」はサラサラ感を演出するキー成分。
もう、あなたはパッケージのイメージや「ベタつかない!」というキャッチコピーだけで製品を選ぶ必要はありません。 成分表という「設計図」を読み解き、それが本当にあなたの求める使用感を実現する処方になっているか、自らの知識で見抜くことができるのです。
この科学的な視点こそ、あなたのスキンケアを次のレベルへと引き上げる、アカデミーの真髄です。